Smart Grid Interoperability・その5
- http://www.nist.gov/smartgrid/
- http://www.nist.gov/smartgrid/InterimSmartGridRoadmapNISTRestructure.pdf
第三章「Smart Grid Conceptual Model」を読み進めていきたいと思います。
この章では、「a system of systems」「a network of networks」であるSmartGridを七つの要素に分類して、それぞれの役割やつながりについて、わかりやすく説明しています。その七つの要素に立ち入る前に、今回は、このConceptual Modelが何かについてまとめてみます。
まずはじめに、SmartGridの目的が以下のように表現されています。
- 新しい技術を利用可能にし、新しいビジネスモデルをサポートすること
- この十年、インターネットが、それらによって進化してきたように
SmartGridのインターネットのように複雑なシステムであり、技術も変化していく可能性があるので、それらの複雑さと変化に対応できるようなデザインであるべきだと述べられています。どんなデザインである必要があるのか?
- Loose coupling(疎結合)
- スケーラブルでハイパフォーマンスなアーキテクチャーのためのデザイン的な信条
- スケーラブルなプラットフォームを構築しやすくする
- Layered systems(レイヤー型システム)
- 概念的に似ている機能をまとめ、上位レイヤーにサービスを提供し、下位レイヤーからサービスを受け取る
- 隣接したレイヤーの役割が明確化されているので、一つのレイヤー内における不必要な制約を排除することができる
- Shallow integration(浅い連携)
また、それぞれのインターフェイスは、以下のような原則も遵守しなければならないとのことです。
- Symmetry
- Net Zero Energy buildingsの特性
- 差し引きゼロになるように動作しなければならない
- Transparency
- 透明性のトランザクションが、マーケットをクリアにする
- Composition
- 組み合わせによって動くような仕組み、一つの統一されたデータベースなど望めない
- Cyber security
- 導入されたシステムのライフサイクルが続く限り、考慮されなければならない
これらを踏まえた上で、本章におけるConceptual Modelが何なのかが語られ始めます。以下のような性質を持っています。
- SmartGridの特性、使われ方、振る舞い方、インターフェイス、要求、スタンダードなどについて議論する時に使われる
- アーキテクチャの最終形というわけではない
- それを設計するための道具と考えた方が良い
- 相互連携やインターフェイスを分析するためのコンテキストを提供する
- 既存の電力システムと新しいSmartGridの双方について議論する際のフレームワークとしても活用することができる
- SmartGridは、七つの「ドメイン」によって形成される
- 各ドメインは、多くのアプリケーションとアクターを含み、それらはアソシエーションによってつながっていて、端にはインターフェイスが定義されている
- アクター(Actors)
- アプリケーション(Applications)
- ドメインの中で、アクターによって作動するタスク
- 一つのアクターによって作動するものもあれば、複数のアクターによって作動するものもある
- ドメイン(Domains)
- アソシエーション(Associations)
- アクター間の論理的なつながり
- これによって、双方向のリレーションシップが生まれる
- アソシエーションの端は、他のアクターへのインターフェイスとなっている
- インターフェイス(Interfaces)
- 電気的なつながり(electrical connections)、情報的なつながり(communications connections)
- 情報的なつながりは、ドメイン間やアクター間で情報を交換するが、物理的なつながりがあるとは限らない
- SmartGrid内における情報の相互連携を、論理的なつながりとして表現したもの
それで、SmartGridを構成する要素(ドメイン)についてですが、以下の七つに集約されています。
- Customers
- Markets
- Service Providers
- Operations
- Bulk Generation
- Transmission
- Distribution
これに加えて、全てのドメインに関わるような横断的な事柄もあります。ここでは、Cross-Cutting Issuesと表現されていて、
- サーバー・セキュリティ
- ネットワークやデータの管理
- アプリケーション間の連携
- 同期問題
などが挙げられていました。
また、一つのドメインが一つの組織を表わすわけではなく、一つの組織が複数のドメインで事業を行なっている場合もある、という注意書きもありました。具体事例については、この後に多数登場しますので、少しずつ読解していきたいと思います。