The Smart Grid in 2010・その5

今回はDemand Responseについてです。このDemand Responseを日本語でどう表現すべきなのか、未だによくわからないのですが、電力網全体の電力需要が高い時に、その情報を電力網全体に通知して、末端のデバイスがそれに反応し、電力需要を抑えて、供給キャパシティがオーバーしてしまうのを防ぐための仕組み、だと認識しています。電力の需給や価格の変化を「見える化」し、さらにはデバイスそのものが自動的に反応する。こういうことに取り組んでいる企業も、このレポートの中には登場し、とても良い勉強になりました。

http://www.gtmresearch.com/report/smart-grid-in-2010
2.2 Demand Response/Demand Side Management

2.2.1 Introduction

  • Demand Response(以下、DR)のコンセプト
    • ユーティリティがエンドユーザーに対して、エネルギーの消費量を減らすためのインセンティブを与える
      • criticalな時(電力供給が危険な状態の時?)
      • ピーク時("peak" times)
      • オン・デマンドで
    • いつ・どのようにエンドユーザーの電力負荷を減らすかは、ユーティリティとの契約で決まる
  • 北米地域の現状
    • エネルギーを大量に消費する商業・工業分野でDRが使われている
    • スマートグリッドの通信・技術を活かすためには、家庭分野でもDRを普及させていく必要がある
  • DRの位置づけ
    • マーケットが本格的に関わる、初めてのスマートグリッドのアプリケーションとなるだろう
      • the New York Timesは"a gold mine"と称している
      • 次の5年で4倍の規模に膨らむと予測されている
    • 40百万のスマートメーターが全米に配置されれば、それはDRプログラムが受け入れられる素地になる
    • DRは、win-winなソリューション
      • ユーティリティとエンドユーザーの双方において
      • ピーク時に備えて発電所を建設することに比べて、DRは、安くて、素早く、クリーンで、信頼性の高いソリューションを提供する
      • コストを抑えられるというポイントは、ユーティリティ・エンドユーザー双方にとって、採用を決定するキードライバーとなる
  • PG&Eの事例
    • カリフォルニア州のユーティリティであるPacific Gas & Electric(PG&E)は、包括的なDRプログラムを既に実践している
      • この企業は、DRを以下のように説明している
      • ピーク時に備えて発電所を建設し、それをメンテナンスすることは、電気料金と外部環境にインパクトを与える
      • そのような大規模な投資は、カリフォルニアのビジネスや環境にとって良いこととは思えない
      • 一方、供給側が限界に近づいたら一時的に需要側を抑える、という仕組みは、コスト面・環境面でより良いソリューションとなる
  • DRの効果予測
    • ピーク時の需要を5%減らすことができれば・・・
      • ピーク時にまれに使われる約625箇所の発電所やそれに付随するインフラが必要なくなる
      • これは、年間30億ドルのコスト節約に相当する

2.2.2 Recent Background

  • DRを市場に組み込む仕組みづくり
    • 2006年、FERCやNARUCといった機関が、これらへの取り組みを始めた
      • これによって、DRソリューションは、公共のユーティリティからの注目を集めるようになった
    • 2007年、Thomas Weisel Partnersから発行されたレポート
      • この5年から10年の間で、DRは年間80億ドルの市場となるだろう
    • 2008年の時点で、既に15億ドルの市場になっている
    • 米国の8%のエネルギー消費者が、何らかのDRプログラムに参加している
      • これによって、41,000MWに近く節電でき、これはピーク時の5.8%に相当する

2.2.3 Demand Response vs. Natural Gas at Peak

  • 天然ガスを燃やす(natural-gas-fired)発電所と比べて
    • DRは、安くて、素早く、クリーンで、信頼性の高いソリューション
      • 1MWに相当する電力をDRで削減するためには、24万ドルの資本投資が必要になる
      • 同じ電力を作る天然ガス発電所を建設するためには、40万ドルが必要になる
      • DRは5分程度で反応できるのに対し、天然ガス発電所だと電力を供給し始めるまでに30分はかかる

2.2.4 Virtual Peak Power: A Growing Market

  • "virtual peak power"をユーティリティに提供するサードパーティの事業者
    • DRに対するニーズの高まりによって、この大きな市場が作られた
    • エンドユーザーのサーモスタットやグリッドに反応するデバイスと連携
      • 電力がピークの時間帯に、それらの電力を集積する
    • 米国における主要なプレーヤー

2.2.5 Continuing Challenges

  • 解決すべき問題点
    • 時間帯ベースの電力料金体系
    • メーターのデータにアクセスできる仕組み
    • インフラへの投資、景気減退中でもそれができるか