SAP Energy Data Management
EMSに関する調査を進めていますが、まずは表題の製品が紹介されているカタログを読みました。十数ページの資料で、良いことばかりしか書いてありませんが、製品の全体像がわかり、とても参考になりました。
- http://www.sap.com/usa/industries/utilities/edm.epx
- http://www.sap.com/industries/utilities/pdf/BWP_Energy_data_mgmt.pdf
以下にメモを書き残しておきます。
- このカタログを読む前に持っていた疑問
- どうやってエネルギーに関するデータを管理するのか?
- データの分析結果からエネルギーのフローをコントロールすることができるのか?
- どのくらい自動化することができるものなのか?
- この製品の差別化要因は何なのか?
- この製品がターゲットとしている顧客
- 規制が緩和されているエネルギー市場(ユーティリティ)
- 時代背景
- ターゲットが抱えている課題
- 顧客情報の管理(契約やエネルギー使用量、支払請求など)
- エネルギー供給の安定化(ピーク時の対応)
- 他社へのデータ提供
- この製品が提供するソリューション
- エネルギーの負荷測定
- エネルギーの安定供給(負荷予測に基づいた供給)
- 様々なタスクのスケジュール管理
- 支払請求(柔軟な価格体系に対応)
- この製品の三大特徴
- エネルギーデータのレポジトリー
- エネルギーに関するあらゆるデータを管理する
- 任意の時間区切り(15分・30分毎など)でデータを管理する
- データを外部からインポートし、チェックし、それを編集することができる
- 安定化のためのワークベンチ(土台)
- 適切なエネルギー供給を行なうための土台を提供
- データの分析結果を見ながら課題を解決していく
- それらの処理を自動化することもできる
- 時間帯別の料金体系
- リアルタイムに変動する料金体系
- 負荷が高いときは価格を上げる仕組み
- こういった複雑な料金体系にも対応することができる
- エネルギーデータのレポジトリー
- このカタログを読んだ後の感想
- 市場の違い
- 日本では、ある地域における発電・送電を一つの会社が管理している
- 欧米では、規制緩和が進み、発電・送電を異なる会社が管理している
- ⇒こういった製品への需要は日本にはない、あるいはあったとしても市場は小さい
- カタログの中に、企業間でデータのやり取りができるという話があった
- エネルギーだけでなく、データも連携する
- ⇒欧米が上記のような市場だから求められる機能なのかもしれない
- ユーティリティ企業が満たさなければならない基準
- ⇒これが予めシステム化されているのは強みなのではないか
- ⇒先進企業の管理手法を機能として導入することも可能になる
- 日本の電力会社
- 先日の勉強会やセミナーで出てきた情報によれば、このカタログに書かれているような制御は既にシステム化されている
- 電力の双方向性に対応したらどうなるのか
- データ量はさらに多くなる(エンドユーザーの細かい電力使用行動)
- 分析・解析すべきことも多くなる(エンドユーザーへ提供する情報の生成処理)
- 市場の違い
スマートグリッド・コンファレンス(2)
前回のエントリーの続きです。先日のイベントで、僕は初めてBetterPlaceという会社のことを知りました。電気自動車の電池を、わりと高速に車体の下から交換する映像をYouTubeか何かで見た記憶はありましたが、それをやろうとしているのがBetterPlaceだということは知りませんでした。
講演をされていたのは三上さんという日本法人の方で、この方の講演中の立ち振る舞いがかっこよかったのが印象的でした。お話の方も非常に面白く、また何かイベントがあったら話を聞きにいきたいなと思えるほどでした。
BetterPlaceの事業内容などについては、調べてみたらいろいろと出てきました。
念のため、今回の講演のメモを書き残しておきます。
- 常識を疑え、という思想から生まれたバッテリー交換ステーション
- 日本人に適した環境対策、欧米思想の輸入ではなく、江戸時代の経験を活かした行動
- タクシーを使った日本での実証実験がまもなく始まる
- 国産車の安全性もタクシー業界が積極的に使ってくれたら向上した、という歴史があるらしい
- イスラエルやデンマークにも拠点がある
創業者のShai Agassi氏に関する記事やインタビューもたくさん見つかりました。面白そうなので少しずつ開拓していきたいと思います。
- プレゼン、対談
- インタビュー、紹介記事
ワクワクするような講演だった反面、実際に街中にこういった仕組みが配備されるのはだいぶ先のことだろうと感じたのですが、昨日の日産の電気自動車の発表に触れたら、そんなに将来の話ではないかもしれない、と視点が一気に変わりました。個人的には車自体にはそれほど関心があるわけではないのですが、それでも非常に面白いニュースだなと感じたことは確かです。スマートグリッドとの話題を絡めながら、将来のことをイメージしてみるのも悪くないかもしれません。
スマートグリッド・コンファレンス(1)
昨日、インプレスR&D社主催による「スマートグリッド・コンファレンス」に行ってきました。何回かに分けて、印象に残った点を書き残していこうと思います。今回は、経済産業省の伊藤慎介氏による講演で出てきた話題を取り上げます。何かのドラマに出てきそうな熱意あふれる伊藤氏の人柄が好印象でした。
講演が始まる直前、以下のような疑問が沸き起こりました。
- 日本のグリッドが既にスマートであるのなら、わざわざ今の米国の流れに乗る必要はないのでは?
- 確かに、電力効率が上がるなどのメリットはあるが、社会全体としての優先度は高いのか?
そんな疑問を持ちながら、伊藤氏の講演を聞いていたのですが、講演を聞きながら、これは日本も積極的に取り組んでいかないといけないトピックなのではと感じるに至りました。
- 標準化
- プラットフォーム
- エネルギー・インターネット
- 街全体が「システム」になる
- この「システム」に接続できなければ、インターネットにつなげないパソコンのように、役に立たないものになってしまう
- この「システム」のコアとなるプラットフォームを海外勢に握られたらどうなるか?
- その上でいくら奮闘しても、利益はプラットフォームを提供する海外勢のところに流れてしまうのではないか?
- 日本の製造業が稼げなくなったら、日本は自国の食糧やエネルギーを賄うこともできなくなってしまうのではないか?
池田信夫氏のこちらの記事を合わせて読むと面白いかもしれません。個人的には、「プラットフォーム」を握ることの重要性ということをこれまで特段に意識したことがなかったので、今回のお話はとても刺激になりました。また、まずは「標準」を作ってしまおうとする諸外国の動きの理由についても、少し理解を深めることができました。自分の身の回りにあるモノ・サービスを、「プラットフォーム」という視点で分析するクセをつけていこうと思います。
■■追記(2009/08/05)
この講演に関する記事へのリンクを貼っておきます。
http://kankyomedia.jp/news/20090803_3595.html
EMS調査・スタート
今後一ヶ月くらいは、「企業が環境負荷を管理するために利用するソフトウェア」に焦点を絞って調査を進めていきたいと考えています。(その他のことについても書くつもりではいますが。)
家庭向けのソフトウェアやデバイスについては、いろいろと情報が出てきますが、企業向けとなると、あまり情報を見つけられていないのが現状です。これまで、以下のようなエントリーを書いていますが、こういった情報を重点的に集めてみるつもりです。
- SAP
- Hara
- AMEE
この作業を通じて、以下のような疑問に答えられるようになれれば良いなと思っています。また、自分が何かをやるならどこが良いか、というアイデアを膨らますことも、これをやる目的の一つです。
- どんなプレーヤーが存在しているのか?
- 大手だけが取り組んでいるのか
- 新しい企業も登場しているのか
- 市場全体の成長性などはどうなっているのか?
- 業界分析のフレームワークを使ってみる
- どのようなソフトウェアが存在しているのか?
- 管理対象となるのは何なのか?
- エネルギーの使用量
- 温室効果ガスの排出量
- 会計的なデータへの変換はどうなっているのか?
- 炭素に値段をつける(排出権取引・炭素税との関わり)
- どの時点の値段をどのように計上するのか?
- 環境会計の制度設計はどの程度進んでいるのか?
調査の進め方については検討中で、試行錯誤していくつもりですが、今のところ以下のようなことを考えています。
- 大企業の活動事例から調べるのが簡単か?
- 実証実験に参加している企業を調べるのも良い手段
- 例えば、SmartGridCity
- http://smartgridcity.xcelenergy.com/index.asp
- http://birdcam.xcelenergy.com/sgc/index.html
- 先日の勉強会で、とても良い情報があるということを知った
- スマートグリッドが進化していくことによる影響
- ここは非常に重要なポイントだと認識しておく
- 実証実験に参加している企業を調べるのも良い手段
一ヶ月後には、勉強会で発表できるような資料を作れる状態に持っていくことが、直近の目標です。
Smart Grid Interoperability・その15
メインブログに書いた勉強会で、このレポートの内容をネタにしました。標準化策定のプロセスが進んでいること、標準化を定めることによるメリットを明確に認識していることなどについて意見交換をしました。レイヤーが明確に分かれている疎結合な仕組みはネットワークのOSI参照モデルと似ているし、インターネットの黎明期にE-コマースの標準化が策定されたプロセスとも似ている、という意見を聞くことができました。
また、先日の勉強会では日米のスマートグリッド市場の相違点についても議論しましたが、個人的に印象に残ったのが、プレーヤー数の違いでした。新旧大小に関わらず、多くの企業がそれぞれの役割を見つけて参入しているのが米国で、だからこそ、このレポートに書かれているような標準化の動きが重要になってくるということを認識することができました。
加えて、このレポートを読んだことによって、「スマートグリッド」と呼ばれているものの全体像をぼんやりと把握することができました。今後は、少しフォーカスを絞って調査していくことが多くなるかと思いますが、その時も、今自分がどこを調べているのかを常に意識していきたいと思います。
というわけで、このレポートの読解はこれで終わりにします。9月にはNISTがスマートグリッド標準化に関する何らかの発表を行なうと思うので、今後も注目していく必要がありそうです。
Smart Grid Interoperability・その14
- http://www.nist.gov/smartgrid/
- http://www.nist.gov/smartgrid/InterimSmartGridRoadmapNISTRestructure.pdf
第四章がほぼ読み終わり、このまま読み続けるべきかどうか迷っていたのですが、第六章を眺めてみたところ、ここを読まなければ、このレポートを読んだ意味はないなと感じました。
このレポートは、EPRIという研究機関が、NIST(The National Institute of Standards and Technology)に向けて書いた資料で、第六章「Prioritized Actions」では、NISTが実行すべき具体的なアクションがまとめられています。
- near-term actions that NIST can take to develop the smart grid interoperability framework
- NISTがSmartGridの相互連携に関するフレームワークを開発するために取ることができる直近のアクション
6-1は「Cross-cutting and Overarching Issues」ということで、SmartGridを構成するドメインを横断するような事柄に対して、今後NISTは何をやるべきかを示しているようです。例えば、価格決定メカニズムの標準化であったり、データの同期化、通信技術の統一化などについて述べられています。
6-2は「Priority Functionality Issues」と題されていて、第四章で出てきた具体的なアプリケーションを実現するために必要なアクションが提言されています。第四章は、それぞれのアプリケーションの説明に重点が置かれていて、こちらの方で具体的なアクションについて述べるというスタンスのようです。
6-3は「Further 2009 Roadmap Activities」で、6-1/6-2で提言されているアクションの後に何をすべきかが述べられています。
というわけで、次回以降は、この第六章の内容をじっくりと読み進めていきたいと思います。
Smart Grid Interoperability・その13
- http://www.nist.gov/smartgrid/
- http://www.nist.gov/smartgrid/InterimSmartGridRoadmapNISTRestructure.pdf
第四章「Smart Grid Applications and Requirements」を読み進めています。
今回は「Electric Transportation」、主に電気自動車のことが書かれている部分を読みました。僕が持っていた電気自動車の電力チャージのイメージは、ガソリンスタンドのような所で何かを車につなげて電力を補充するというもので、それを実現するためのインフラ設備というのは大変なものだろうなと想像していたのですが、そのイメージがここ数ヶ月で変わりました。特に、電気自動車を蓄電装置として利用する、電力ピーク時には電気自動車から電力網へ電気を提供する、といった将来イメージはとても面白いなと感じました。ただ、料金システムは複雑になってしまうことは確実で、そうなってしまっては価格インセンティブも働きにくくなってしまうと思うので、この点をいかにクリアにわかりやすくできるかがポイントのような気がします。
- Electric Transportationの重要性
- 以下のような効果がある
- 石油への依存度を減らせる
- 再生可能エネルギーの割合を増やせる
- カーボンフットプリントを劇的に減らせる
- しかし、現在の送電網やマーケットのインフラでは、大規模な電気自動車の普及を支えられない
- SmartGridのアーキテクトやスタンダード策定者は、新しいインフラについて熟考する必要がある
- 以下のような効果がある
- プラグイン型電気自動車(plug-in electric vechicles/PEV)がもたらす影響
- ユースケース
- Customer Does Not Enroll in Any PEV-Specific Program
- Utility/ESP Develops Different Tariffs and Service Programs
- ユーティリティやエネルギーサービスプロバイダーは、様々なPEVプログラムを開発している
- 料金の違いや、サービスの違い、PEVの性能の違いがプログラムのベースとなっている
- PEV Charges After Customer Establishes Charging Parameters
- 同じタイプのPEVでも、消費者の住居区域や制約によって、電力チャージするやり方や時間帯が変わってくる
- PEV Charges at Different Locations: Roaming Scenarios
- PEVの電力チャージを、住居区域とは別の場所で行なう可能性もある
- その場合(ローミングした場合)の、電力料金などはどうなるのか?
- 利用したエネルギー分だけ料金を支払う(家庭で電力チャージする場合)
- ユーティリィを通じて支払う(加入しているユーティリティのインフラを使う場合)
- 他のユーティリティが管理するインフラで電力チャージする場合は、「ゲスト」となるので、その分だけ手数料が取られる
- PEV Roaming, Assuming Unbundled Retail Electricity Reselling
- 電力の小売りが可能になれば、消費者は蓄電電力を売ることが可能になる
- 夜間など電力価格が低い時に電力をPEVに蓄電し、暑い昼間に、それを販売する
- PEV for On-Premise Backup Power or Other Use of Storage
- 蓄電装置としてPEVを利用する
- ユーティリティは電力需要のピーク時に、消費者から電力を購入する
- 停電が起きた時に、発電装置として利用する
- 電力サービスを得られない場所で、電力を得るために利用する(建設現場とかキャンプとか)
- 他のPEVの電力を補充するために利用する
- Utility Provides Accounting Services to PEV Customer
- ユーティリティは、PEVの所持者に対して、使った電気の利用料金を請求する
- Impact of PEV as Load on Distribution Operations
- 配電設備は、PEVの電力チャージが、いつ、どこで、どのくらいのスピードで行なわれているかを知る必要がある
- PEV Network Testing, Diagnostics, and Maintenance
- PEVのインターフェイスシステム(EVSE)やバッテリーのテスト、診断、メンテナンスのサービスを提供する